発達障害のある社員が「辞めてしまう職場」と「続く職場」の違い

発達障害のある社員を採用した企業から、「入社して半年で辞めてしまった」「また離職が出た」という声を聞くことがあります。一方で、同じような特性を持つ社員が何年も安定して働き続けている職場もあります。

この差は、本人の意欲や能力だけでは説明できません。職場の環境・上司の関わり方・組織の仕組みが、定着を左右しています。

この記事では、発達障害のある社員が早期離職しやすい職場のパターンと、定着している職場が実践していることを整理します。

ニューロダイバーシティの基本については、ニューロダイバーシティとは?企業が知るべき基本と障害者雇用との接点もあわせてご覧ください。


目次

発達障害のある社員の離職、なぜ起きるか

発達障害のある社員の早期離職の背景には、「職場が自分に合っていない」という感覚が積み重なるケースが多くあります。

特徴的なのは、本人が「合っていない」と感じる理由を、うまく言語化できないことがあるという点です。「なんとなく毎日つらい」「何が問題なのかわからないが消耗する」という状態が続き、ある日突然限界を迎えて離職する——このパターンが少なくありません。

職場側からは「突然辞めた」「相談もなかった」と感じられますが、本人の中では長い期間の蓄積があったというケースが多くあります。


辞めてしまう職場の4つのパターン

パターン1|暗黙のルールが多すぎる

「空気を読む」「その場の流れに合わせる」——多くの職場では、明文化されていないルールが大量に存在します。

定型発達の社員がなんとなく察して動いていることを、ASD・ADHDの特性を持つ社員は察せないことがあります。「なぜ怒られているのかわからない」「何が正しい行動だったのかわからない」という経験が積み重なると、職場に対する予測不可能感が高まり、消耗につながります。

パターン2|フィードバックが曖昧

「もう少し丁寧に」「いい感じでお願いします」「察してほしい」——こうした指示は、多くの発達障害のある社員にとって、何をすればいいかわかりません。

フィードバックが曖昧な職場では、正しく改善できないまま同じ指摘を繰り返され、「何度言ってもわかっていない」という評価につながります。本人は懸命に取り組んでいても、何が求められているかがわからない状態が続きます。

パターン3|感覚過負荷が放置されている

ASDのある方の中には、音・光・においなどへの感覚過敏がある方がいます。オープンオフィスの騒音、蛍光灯の明るさ、香水のにおい——こうした環境刺激が、慢性的なストレスになっているケースがあります。

「そのくらい我慢できるでしょ」という職場では、本人が声を上げることも難しく、日々の消耗が蓄積します。

パターン4|相談できる人がいない

「こんなことを相談したら変に思われるか」「前に相談したら否定された」——発達障害のある社員の中には、相談すること自体にハードルを感じている方がいます。

相談できる人がいない職場では、困りごとが表面化しないまま積み重なります。問題が顕在化したときには、本人の限界がすでに来ているケースも少なくありません。


続く職場が実践していること

業務指示を明文化する

「こういうときはこうする」を口頭だけでなく文書で示す職場では、発達障害のある社員が「正解」を確認できます。マニュアル・チェックリスト・優先順位の明示——これらは、発達障害の有無にかかわらず、すべての社員の仕事を整理するのにも役立ちます。

定期的な1on1を設ける

週に一度、15〜30分の1on1を設けている職場では、「困りごとが積み重なる前に拾える」状態が作られます。

発達障害のある社員は、問題を自発的に相談することが苦手な場合があります。定期的に話す場があることで、「聞いてもいい」という安心感が生まれ、小さな問題のうちに対処できます。

環境調整に柔軟に対応する

ノイズキャンセリングイヤホンの使用、席の配置変更、リモートワークの部分活用——こうした個別の調整を「わがまま」ではなく「合理的配慮」として捉えられる職場では、発達障害のある社員が消耗せずに働ける環境が整います。


定着を左右するのは「採用後の最初の3ヶ月」

発達障害のある社員の定着支援において、採用後の最初の3ヶ月は特に重要です。

この時期に、業務の進め方・職場のルール・相談の仕方を丁寧に伝えられるかどうかが、その後の定着を大きく左右します。「最初はみんなそうだから」と放置すると、本人が基準を理解できないまま時間が経過します。

入社直後のオンボーディングを、発達障害のある社員に合わせて設計することが、定着の最初のポイントです。


まとめ

この記事のポイントを整理します。

  • 発達障害のある社員の早期離職は、「突然」ではなく長期間の蓄積の結果であることが多い
  • 暗黙のルール・曖昧なフィードバック・感覚過負荷・相談できない環境が離職を招く
  • 定着している職場は「明文化」「定期的な1on1」「環境調整への柔軟性」を実践している
  • 採用後の最初の3ヶ月のオンボーディング設計が定着を左右する

発達障害のある社員の定着支援や、受け入れ体制の整備についてご相談がある場合は、お気軽にお問い合わせください。

発達障害のある社員の定着支援について相談する


参考:厚生労働省「発達障害者の就労支援について」、障害者職業総合センター調査研究報告書

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